アメリカの片隅で思うこと:平成21年1月


2009年1月11日日曜日 − アメリカ経済はどうなるのか、そして日本は?


サブプライム・ローンで住宅ローンの金利の支払額が増えるために、ローンを払えなくなる人が増え差し押さえが多数発生すること、そのままにしておけば不動産の大幅な値下がり(バブルの崩壊)は避けられないこと、金融機関は大量の不良債権を抱えることになることなどは2006年から言われていたことで、2008年の9月に入るまでは、その景気や株価に対する影響はじわじわという程度で進行していた。それが、9月に入って、アメリカの金融界で倒産やら政府介入やらが相次いで発生した後、政府がこれは税金を注入して銀行を救済しなければ大変なことになると言ったとたんに、優良不良の区別なく株が一斉に売られ、消費者は財布の紐を引き締め、景気や株価が一気に後退した。議会もこれは百年に1度の大恐慌という金融界の権威の言葉におののいて救済案を可決した。一般大衆はこれを胡散臭いと感じているが、希望をオバマ政権の誕生に託して事の成り行きを見守っているというのがオバマ大統就任間近い昨今のムードである。

700,000,000,000(7千億ドル)という救済予算が組まれ、その半分は既にばら撒かれたが、信用問題は一向に改善しそうにない(地方の中小銀行やCredit Unionは結構健全なのだけど)。一見するとブッシュ政権は銀行に資本金を注入するというイギリスのブラウン政権と同じことをしたように見えるが、その用途を規制し、監査できるようにしたイギリスとは違い、アメリカ国民が払わせられた3500億ドルにはそのような条件が何も付いていないという。民主党議会は財務長官ポールソンとその部下たちを呼び出して、お前たち体よく引っ掛けられたことを恥ずかしいと思わないのかと言って当り散らしていたけれども、それはお門違いというもの。引っ掛けられたのは議会の方であろう。

一方、日本から聞こえてくることは、日本の金融界はサブプライムローンにあまり手を出していないから、影響が少ない。モーガンスタンリーを救済する余力もある。ウェスティングハウスも日本の資本(東芝)が買った。ドルに対して円の価値=信用が上がっている。さらに、ひょっとしてこれは、疲弊したアメリカに代わって、日本が世界の金融界で優位に立つ契機になるかもしれないとの皮算用さえ聞こえてくる。日本が、GDPの三倍の負債で破産したアイスランドへIMFを介して融資することによって「存在感を発揮しようとしている」(日本経済新聞)という話も聞いたが、結局どうなったのか。アイスランド政府の公式サイトにはIMFと北欧諸国から融資を受けたことが書かれているが、日本のことには何も触れられていない。

10年ほど前にも書いたけど、アメリカ(アメリカの富の50%を占有しているといわれる上層支配者層)の懐は深い。失業や家の差し押さえは苦しいし、401kの年金の時価が半額以下になったのも苦しいが、それがこの世の終わりというわけでもない。バブルを作り出しサブプライム・ローンでぼろもうけをする方法を考え出した連中が破産したって、実体経済は回り続ける(首が回らなくなってこの世の終わりと決め込む人も出るか)。

日本の政府も企業もこの20年間でいろいろ学び、このようなときに少しは賢く立ち回る知恵を付けたという証拠を見せてくれるかも知れないと期待する気持ちの一方では、モーガンスタンリーやウェスティングハウスの買収がロックフェラー・センターの二の舞にならなければいいがと思ったりもする。こういう気持ちって、日の丸を付けたスポーツチームをついつい応援してしまう心理と同じレベルのものなのだろうけど。。。

そんなことを考えながら徘徊したウェッブで見つけたお勧め日本語サイトを下に挙げておく。

  • 新保豊の時々感想帳
    いろいろ読んだ中で、やっぱり見えている人には見えていると思わせる内容。

  • 田中宇の国際ニュース解説
    ニュースの裏を読むという姿勢を買いたい。情報源も悪くない。読みの方は。。。

  • 石原慎太郎公式ウェブサイト
    石原知事は70歳を超えられたそうだけど、年末の記者会見のビデオを見ると、頻繁に瞬きをしてかなりお疲れのように見えた。新年の記者会見では少し元気を回復されたように見えたけれども、後何年現役でがんばっていただけるのだろうか。氏の後継者となれるような見識と才覚と気概のある人が育っていることを祈るばかり。

  • ついでにアメリカのサイトも挙げておく。

  • This American Life
    これを聞かずにアメリカの問題を理解したと言うべからず。当事者の生の声で問題の核心が暴露されていくラジオ・ドキュメンタリー。

  • Daily Show
    クリントン前大統領のお嬢さんもニュースはこれで見るというくらい、若い世代のネットワーク・ニュース離れが進んでいる。私も「健康に悪いからニュースは見るな」という『Gift of Fear』のGavin De Beckerの忠告に従って見ないことにしているが、本物のニュース番組を茶化す趣向のこの番組は見る。
  • NPRのFresh Air
    話題の本の著者や、映画や音楽を作った人たちを30〜50分にわたってインタビューする高濃度のラジオ・トークショー

  • Now on PBS
    アメリカの社会時事問題の核心にいち早く切り込むドキュメンタリー。

  • PBSのFrontline
    アメリカの社会時事問題を掘り下げたドキュメンタリーならこれ。


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